陽気に歌って踊って、アフリカの人は音楽が大好きなイメージがある人も多いのではないでしょうか。イメージそのままで、アフリカの人たちは音楽が大好きです。音楽が生活と密接に関係しているのです。
そんな音楽が大好きなアフリカの人々。どんな音楽を聞いていて、どういう音楽のルーツがあるのか。ガーナでの2年間の生活の中で、音楽好きな僕はDJとしても活動をしており、合計50回以上のイベントでアフリカン音楽をプレイしながら現地の人たちと交流を図っていました。おそらく、ガーナのストリートカルチャー、音楽シーンの最先端で現地人と同じステージで音楽活動をしていた日本人は他にいないのではないでしょうか。
2年間アフリカのダンスシーンを見てきた経験と、最近流行りのアフリカの音楽事情と合わせてお届けいたします。
Contents
1.アフリカの音楽は地域によって全然違う
アフリカの音楽といっても、たくさんのジャンルの音楽が存在しています。
アフリカ内の地域によっても親しまれている音楽がぜんぜん違うので、ひとくくりにアフリカの音楽を表現するのが難しいです。一般的にアフリカの音楽といわれているのは、アフリカ北部以外の地域(サブサハラより南)の音楽だそうです。北部のアフリカは、中東の文化を多く受けているので、音楽もアラビア音楽に分類されるのだとか。
サブサハラより南のアフリカ音楽は、部族社会から産まれてきたものがほとんどで、神話、伝説、教訓、時事的話題の伝達、権力者の風刺や賛美、訴訟、治療、雨乞いなどに音楽が使われたりしていました。音楽を楽しむ機会も、儀礼、宴会、労働、娯楽など、生活との緊密な結び付きの下で多岐にわたります。
私が住んでいたガーナでは、お葬式、宴会などでは盛大に音楽が流れ、歌って踊ってのどんちゃん騒ぎになることがほとんどでした。とはいえ、なんでもかんでも音楽をかけて踊り狂えばいいというものでもありません。
お葬式の始めには、
現地から生まれたローカルのゴスペル
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ローカルの民族音楽
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一般的なゴスペルミュージック
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葬式の終わりにはアフロビーツを楽しむ。
など、お葬式の式典の中でもしっかりと音楽の構成も練られていて、現地音楽の深さを知った経験があります。
部族や地域はもちろん、宗教や文化によって音楽の楽しみ方が大きく異なってくるのです。
2.アフリカ音楽のルーツを探る
部族社会であったアフリカでは、部族単位で音楽が産まれてきます。
太鼓などの打楽器を叩きながら飛び跳ねているアフリカ人を想像する方も多いと思いますが、イメージ通りでアフリカにはたくさんの打楽器が存在しています。太鼓などの膜鳴楽器はもちろん、木琴やサンザ(ムビラ)といった体鳴楽器、ホルンやフルートなどの気鳴楽器や、楽弓、フィドル、リュート、チター、ハープなど弦鳴楽器などさまざまな打楽器が存在しています。
即興演奏、および集団歌唱における応唱(リーダー対グループ)や交唱(グループ対グループ)といった交互の呼びかけなど、応答形式で音楽が演奏されることも多く、打楽器などの音を音楽として奏でることで、メッセージの伝達を行っていたのもアフリカ音楽の特徴です。
また、ブルース、ジャズ、サルサ、ズーク、ルンバなどの音楽は、アフリカ人奴隷がアメリカへ持ち込んだアフリカの伝統音楽を基ににできた音楽で、のちに大ヒットするロックやR&Bの登場にも貢献しているのです。
アフリカ音楽のルーツの深さと底知れぬ可能性を感じますね!
3.アフリカで人気な音楽って?
音楽が大好きなアフリカ人にはどんな音楽が親しまれているのでしょうか?
アフリカの地域によっても親しまれている音楽は違うのですが、大きな歴史的な流れと、最近のアフリカ音楽のトレンドを紹介したいと思います。
3-1 アフリカの音楽はキューバ音楽から回帰?
アフリカのポップの現代音楽を表現するのに時々使用される言葉に、アフロポップという言葉があります。実はいち早く、アフロポップのスタイルを取り入れたのは実はキューバの音楽。
1940年代にアフリカ系キューバ人グループの音楽がコンゴ地域で大ブレークし、サハラより南のアフリカでは20世紀中頃から絶大な支持を得ていたそうです。その影響から、コンゴでは独自のルンバと言われる新しいジャンルを作ったり、ギター主体の音楽がアフリカ全土へ伝わっていった歴史があります。
ガーナでの生活の中でも、キリスト教の教会ではバンドグループがゴスペルを演奏していたり、バーなどではバンドの生演奏もたくさん見ることができます。意外なことに楽器を弾ける人もかなり多いのです。
ガーナの場合はキリスト教がメジャーなので、ブラスバンド、ゴスペル系のバンドとして活動している人が趣味レベルで非常に多かったのですが、実はこれも元はキューバ発祥のアフロポップの影響だったということには驚かされました。
3-2 アフリカの音楽シーンに欠かせない”アフロビーツ”
アフリカの音楽で近年一番インパクトのあったジャンルはアフロビートではないでしょうか。
日本ではまだまだ知られていませんが、アフリカ、特に西アフリカではとても流行った音楽で、現在のアフリカで人気な音楽シーンのベースとなっているといっても過言ではないでしょう。
アフロファンクとしても知られるアフロビートは、西アフリカの伝統音楽とガーナのハイライフに、ファンク・ジャズの要素を取り入れた、テンポよく明るい音楽として知られています。有名なアーティストには、ナイジェリア出身の「フェラ・クィ」。アフロビートのパイオニアとして知られています。
とてもおしゃれで聞きやすい音楽なので、ぜひ一度聞いてみてください。
3-3 アフリカ音楽で有名な楽器
アフリカにはたくさんの打楽器が存在します。
楽器からアフリカで人気な音楽を探っていきましょう。
3-3-1 ジャンベ【アフリカ音楽の打楽器】
アフリカの打楽器と聞いて、まず第一に思いつくのが「ジャンベ」の人も多いのではないでしょうか?
日本でも見る機会が多いですよね。西アフリカのマリ周辺でポピュラーな打楽器。
3-3-2 サバール【アフリカ音楽の打楽器】
西アフリカ、セネガルの民族楽器。切り抜いた木に皮を張った片面太鼓で、手とスティックで叩いて演奏します。
現地では結婚式や祭礼などで使われています。
3-3-3 パンロゴ【アフリカ音楽の打楽器】
西アフリカ、ガーナで使われている打楽器。
ガーナではジャンベも人気ですが、パンロゴも使われています。
3-3-4 パティカ【アフリカ音楽の打楽器】
前後に手を振ると遠心力で玉が周り、実の中に入っているシャカシャカと二つの玉のぶつかり合うカチカチが複雑に交わり、絶妙なリズムが奏でられるます。
マラカスの音に近いです。こちらも西アフリカ一体で使用されています。
3-3-5 カリンバ【アフリカ音楽の打楽器】
木の箱にバーを取り付けただけのシンプルな楽器。親指でバーを弾いて音を出します。
ケニア、ウガンダなどの東アフリカで広く使われています。
3-3-6 コラ【アフリカ音楽の打楽器】
西アフリカの代表的な弦楽器。
ハープのように弾くリュート型をした楽器。ナイロン弦で音色は日本の琴の音に似ています。
最後に今はやりのアフリカン音楽をご紹介!