「ガーナ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「チョコレート」「カカオ」という人も多いのではないでしょうか?何を隠そう、ガーナに行くまでは僕もそのイメージしかなかった内の一人です。日本では、「ガーナ」の名前はチョコレートの商品名になっていたり、ガーナ=チョコレート=カカオのイメージが強いですよね。
「実際にガーナのカカオ事情ってどうなの?」「ガーナではチョコレートは作ってないとか聞いたけど?」
など、実際のガーナカカオ事情についてご紹介していきたいと思います。
Contents
1.そもそもカカオってなんだっけ?
WIkipediaによると、
カカオ(学名:Theobroma cacao)は、アオイ科(クロンキスト体系や新エングラー体系ではアオギリ科)の常緑樹である。カカオノキ、ココアノキとも呼ばれる。学名の Theobroma はギリシャ語で「神 (theos)の食べ物 (broma)」を意味する
とあります。
神の食べ物カカオ!響きが素晴らしいですね!

もともとは、メソアメリカ(メキシコーアメリカ北西部)が原産地で、当時では飲料するものとして使われていたり、栽培食物として活用されていたそうです。
2.ガーナはカカオの生産量が世界2位
ガーナはカカオの生産量が世界で2位というカカオ大国です。お隣のコートジボワールが世界No1の生産量を誇っています。また、カメルーンも世界第4位と、西アフリカの地域一帯がカカオで有名なのが伺えますね。
もちろん、ガーナではカカオの貿易が国のGDPに大きく寄与しています。
2-1 日本のカカオの80%はガーナ産
チョコレートの原料として知られるカカオ。
日本のお菓子メーカーもたくさんのチョコレート商品を開発していますが、実は日本に輸入されているカカオの約80%がガーナ産です。ガーナ以外だと、ベネズエラ、エクアドルなどの南米からの輸入が多く、ベトナム、インドネシアなどの東南アジアなどからも輸入されていますが、圧倒的にガーナからの輸入が多いです。
2016年では約4.8万トンのカカオをガーナから輸入しています。(参照元:日本チョコレート・ココア協会)
近年では、カカオのニーズがさらに高まっているので、日本とガーナの関係はとても重要と言ってもいいでしょう。
2-2 ガーナでカカオがとれる地域
カカオで有名なガーナですが、いたるところにカカオの木がなっているわけではありません。都市部はもちろん、カカオを見つけるのは結構難しかったりします。
実は大規模プランテーションのような大きなカカオ農園はそんなに多くなく、個人単位でカカオの栽培をしている農家さんがほとんどなのです。
私が住んでいたボルタ州でもカカオの栽培は盛んで、州都であるホから北上した山の中の農村部ではカカオの栽培がとても盛んでした。
ガーナ国内でのカカオ栽培はイースタン州から始まっており、アシャンティ州やウェスタン州もカカオの栽培で有名です。ガーナの南部地域一体で、カカオの収穫が盛んに行われています。
3.ガーナでカカオは食べられてるの?
カカオと聞くとチョコレート!のイメージが私たちにはありますが、ガーナではどうなのでしょうか?カカオをチョコレートにして食べているのでしょうか?そもそもガーナ人はカカオをどうやって使っているのでしょうか?
もしかすると、都市伝説的に、「ガーナの人はチョコレートを知らない」なんて聞いたこともあると思いますが、これはあながち間違っていません。チョコレート自体はガーナでそこまで普及していなく、カカオがチョコレートになることを知らないガーナ人がたくさんいるのです。
ガーナでは、カカオをチョコレートにして食べている人たちはほとんどいなく、カカオをフルーツとしてそのまま食べています。カカオの実を割ると、中には白いゼリー状の液体に包まれたカカオの種があって、そのゼリーを食べたり、種をボリボリと食べるのが一般的です。私もたくさんカカオを食べましたが、とても美味しいです。種自体は結構ビターな味で、チョコレートの様にバター、砂糖が入った甘さはありませんが、なかなか美味しいです。食べだすとおつまみ感覚で止まらなくなってしまいます。
ガーナ人はカカオをフルーツとして食べているのです!
4.ガーナではカカオをチョコレートにしていない!?
カカオをチョコレートにするまでには、たくさんの工程を経なければなりませんが、ガーナ国内でカカオを加工し、チョコレートとして販売している企業は実はほとんどいないのです。そのため、ガーナではチョコレートがそこまで普及していないという現実もあります。

ガーナで有名なチョコレートだと、「Golden Tree (ゴールデンツリー)」「Niche(ニチェ)」くらいです。
「Golden Tree (ゴールデンツリー)」は昔から有名で、ガーナのスーパーマーケットで買うことができます。日本のチョコレートにくらべると、あまり口どけがよくなく、パサパサした感じです。灼熱のガーナで、チョコレートが溶けてしまわないように、日本と製造工程も違うので、味もだいぶ違うみたいです。
2017年あたりから販売を開始した「Niche(ニチェ)」もスーパーマーケットで購入することができます。こちらは、だいぶ日本のチョコレートに近くて美味しいです!値段もそれなりにしますが、ガーナ産のおいしいチョコレートを食べたい!という時には「Niche(ニチェ)」が一番ですね!
5.ガーナのカカオビジネス
近年、その価値がとても注目されているカカオ。世界第2位の生産量を誇るガーナには、カカオをもとめてたくさんの企業が押し寄せています。カカオを取り巻くビジネスシーン、現状を少し見ていきましょう。
5-1 ガーナのカカオは国が買い占めている!?
ガーナのカカオビジネスシーンを語る上で、Ghana Cocoa Boardの存在を抜きにすることはできません。Ghana Cocoa Boardはガーナで生産されるカカオの値段をコントロールするため、農家から決まった価格でカカオを買い上げています。
1937年に、当時イギリスの配下にあったガーナ(ゴールドコースト)では、低価格のカカオ取引額にとても悩まされていました。宗主国であるイギリスによる一方的な価格設定は、ガーナの農家や経済をとても苦しめており、当時8ヶ月のストライキを経て、カカオの公正な取引を目的とし、Ghana Cocoa Boardが設立されました。
2018年現在でもカカオの取引にはGhana Cocoa Boardの存在が大いです。
5-2 ガーナのカカオを狙う商社たち
世界第2位のカカオ生産国であるガーナにはたくさんの商社がカカオの取引を目的にやってきます。日本で有名なお菓子メーカーもガーナからカカオを買い付けています。日本だけでなく、世界中の商社がガーナの地にカカオをもとめにやってきているのです。
大手資本がたくさん入っている現在、中小企業や個人でのカカオ取引に乗り出すのはとても難しく、カカオの利権やカカオビジネスは成熟しつつあるといってもいい状況下にあります。
6.ガーナのカカオが児童労働の原因に!?
カカオの取引で経済が豊かになる反面、いろいろな社会問題も産まれているカカオビジネス。カカオビジネスの影でおこている問題にも注目してみましょう。
たくさんの人がガーナにカカオを買いに来るので、少しでも収入を増やそうとカカオ農家の人たちは労働力を必要とします。ガーナだけでなく、カカオの生産で有名な西アフリカでは、こうしたカカオ農園で子供達を働かせ、少しでも生産量を増やそうと14歳以下の児童労働問題がとても深刻です。
ガーナでは、カカオ樹の高齢化や後継者不足もあって、児童労働がなかなかなくならないという悪循環に陥っています。2015年7月の米国チュレーン大学の調査レポートでは、ガーナではいまだに約90万人の子どもたちがカカオ生産において児童労働の状態にあることが報告されているそうです。
7.ガーナのカカオ事情まとめ
ガーナのカカオ事情いかがでしたか?
普段私たちが食べているチョコレートの背景が少し垣間見れたのではないでしょうか?
まず、多くの人にとっての一番の気づきが、「私たちが口にしているチョコレートの原料カカオは、ほとんどがガーナからの輸入。」ということではないでしょうか。
そんなカカオもガーナではチョコレートの原料として知られていなかったり、そもそもほとんど国内でチョコレートを作っていなかったり。。はたまた、児童労働という社会問題の原因にもなっているのです。
世界的にカカオの価値が上がっていくトレンドの中で、ガーナのカカオ事情の今後にも注目です。