日本で暮らす私たちにはあまり馴染みのない宗教。海外では宗教と生活、政治、経済が密接に絡むことが多いです。ガーナも例外ではありません。ガーナの宗教事情を知ることは、ガーナを知ることに大きくつながるので、ガーナの宗教感をしっかりと把握しておきましょう!
Contents
1.ガーナの宗教全体像
日本で生活していると宗教を意識する機会はほとんどありませんが、ガーナでは宗教が生活と密接に絡んでいます。
ウィキペディアのデータを参考にすると、
2010年で、キリスト教68.8%、イスラム教15.9%、伝統宗教8.5%、無宗教6.1%、その他0.7%
2011年だと、
キリスト教71.2%、イスラム教17.6%、伝統宗教5.2%、無宗教5.2%、その他0.8%
Wikipedia参照
のようです。キリスト教とイスラム教が増加傾向にあるようです。まずは、ガーナで一番メジャーなキリスト教の実態を見ていきましょう。
2.ガーナのメイン宗教はキリスト教
キリスト教にも複数の種類がありますが、ガーナの状況は、
2010年で、
ペンテコステ派/カリスマ派24.1%、プロテスタント18.6%、カトリック15.1%
2011年で、
ペンテコステ派/カリスマ派28.3%、プロテスタント18.4%、カトリック13.1%
Wikipedia参照
となっています。
ガーナを歩いていると街のいたるところで、イエスキリストのポスターが貼ってあったり、教会をたくさん見かけることがあると思います。メイン宗教がキリスト教であることを象徴していると言っていいでしょう。
トロトロ(乗り合いバス)に乗っている時にも、キリスト教の宣教師が乗り込んできて、勝手に演説を始めたり、寄付を募ったりしているシーンによく出くわします。
3,イスラム教がガーナで2番目にメジャーな宗教
キリスト教についで多いのがイスラム教です。
日本人である私たちにとって、イスラム教は漠然と危ない雰囲気があったり、理解しがたいイメージがあると思いますが、多くはメディアによって植え付けられたイメージだったり、誤解であることがほとんどです。
世界的に信仰者の多い宗教だけあって、他の宗教同様、魅力的な宗教なのですが、一部の過激派による事件の影響で、イスラム教=悪のようなイメージを持たれる方がまだまだ多いのではないでしょうか。
ガーナ国内では、イスラム教への偏見もほとんど見られず、第2の宗教として浸透しています。また、過激派といわれるイスラム教徒もいないみたいなので、平和に真面目にイスラム教を進行している人がほとんどです。
私もガーナに住み、イスラム文化と触れることでそいった偏見や誤解がだいぶなくなりました。
4.ガーナの生活と宗教
日本だとあまりイメージできませんが、ガーナ人の生活には宗教が密接に絡んできています。
代表的な宗教と、ガーナでの生活を見ていきましょう。
4-1キリスト教【ガーナの宗教と生活】
ガーナでキリスト教を信仰している人は、予想以上に信仰心が強いな!と思うことがよくあると思います。各自自分の聖書を持っていたり、日曜日には家族で教会に行って、お祈りしたり、懺悔したり、歌って踊ったりします。
ガーナで暮らしていると、教会に一緒に行こう!とよく誘われると思います。キリスト教の宗派だったり、親戚の関係などでそれぞれ通う教会を決めていて、同じ教会に集まることで周囲との交友関係を深めていきます。
また、お酒もあまりのまないことになっていたりします。とはいえ、お酒が好きな人は結構飲んでいたりします。
4-2イスラム教【ガーナの宗教と生活】
ガーナ国内でイスラム教徒が多くいる北部の地域では、イスラム教の文化が日常生活と密接に絡みあっています。
街の中を歩いていても気づくと思いますが、たくさんのモスクがあります。ガーナ南部でたくさんの教会を見ることができるのと同じように、北部ではモスクをたくさん見ることができるでしょう。建築物として有名なモスクもあったり、一部観光地化してるモスクもあるくらい、素晴らしい建物が多いです。
通常ムスリムの方たちは、一日に5回お祈りを決まった時間に行っています。彼らの多くは、街の至る所にあるモスクへ足を運びお祈りを行っています。ですが、授業のある学生、仕事中の方などは、会社のオフィス、学校や公共施設、また家庭の一室などに設けられたお祈り用の部屋(ムショラ/Mushola)でお祈りを済ませることもできます。
ガーナでは、道端にみんな集まって、一緒にお祈りをしている光景をよく見ました。1日に5回お祈りがあるので、お祈りが生活の中心と言っていいほど多くの時間をお祈りに使っています。
イスラム教の人たちは、食事にも気を使っています。
イスラム教には「ハラール(許される行為・物)」と「ハラーム(禁じられた行為・物)」という2つの規範があり、 食べ物も「ハラールフード」と「ハラームフード」が定められています。後者は飲食してはいけないことになっていて、その代表的のものが豚とアルコールです。
ハラールフード(食べてもよいもの)
・鶏肉、牛肉、羊肉など
ハラールミートに限ります。卵や乳製品もOKです。ただし、不浄なエサで飼育された鶏や牛、羊の場合は、肉も卵もいっさい食することができません。
・天然の魚介類
自然な状態で育てられた魚、エビなど。フグも毒を取り除いたものはハラールです。新鮮な海鮮料理はすべてハラールですが、いか、たこ、うなぎは不快感を覚える人が多いので注意が必要です。
・野菜・果物・きのこ類
野菜や果物は無農薬のもの。きのこも人工栽培ではなく天然ものに限られます。ピーナッツ、こしょうなどもОKです。
・自然の飲み物
天然水、水道水、ハラームの成分が含まれないソフトドリンク、果汁100%のジュースは問題ありません。
ハラームフード(食べてはいけないもの)
・豚肉と豚に由来するもの
豚肉だけでなくハムやベーコンなどの加工品、ラード、豚のエキスが入ったスープやブイヨン、ゼラチンを使ったデザートも禁止です。とんかつを揚げた油で炒めた野菜や魚もNGです。お菓子やクッキーにサクサク感を出すために用いるショートニングも、動物性脂肪と同じ化学構造をもたせた人工的な脂肪なので不可とされています。
・アルコール入りのもの
日本酒、ウイスキー、焼酎、ワインといった飲用のアルコールだけでなく、しょう油、みりん、みそ、醸造酢、ポン酢、マヨネーズなど原料にアルコールが添加されている調味料も禁じられています。ラム酒を使ったお菓子もNGです。
・遺伝子組み換えの野菜
遺伝子組み換えの作物には大豆、とうもろこし、じゃがいもなどがありますが、現在流通しているものはすべて輸入品です。日本では消費者向けの遺伝子組み換え作物は栽培されていませんので、国産の農作物なら安心ということができます。
日本では馴染みのないイスラム教ですが、ガーナでは第2の宗教なので、失礼のないよう最低限の知識をつけておくことをおすすめいたします。
5.地域によって違うガーナの宗教
もうお気付きの方も多いかと思いますが、ガーナ国内でも地域によって信仰している宗教が違ってくる傾向があります。
一般的には、
ガーナ南部=キリスト教
ガーナ北部=イスラム教
のイメージです。
とはいえ、首都のアクラにもイスラム教のコミュニティーや地区もあったり、北部に住んでいるけどキリスト教など一概に地域で違うとはいえませんが、大きな傾向として、南部はキリスト教。北部はイスラム教。のイメージで問題ないでしょう。
また、本記事の冒頭でも紹介したように、伝統宗教を信仰している人もいます。これらは、地域に根付いていたり、その地区独特の宗教、部族に由来するものなど様々あるそうですが、私の知り合いのガーナ人曰く、伝統宗教はその地域に根付いたものが多いとのことです。
私が住んでいたボルタ州でも、伝統宗教を信仰しているガーナ人にもお会いしたことがあります。彼らと話をしてみると、「黒魔術を使える!地球をコントロールできる!」などをおっしゃっていました。あまりにも初めてすぎる宗教感だったのと、なかなか想像がつかないことも多く、完全に理解することはできませんでしたが、確実に伝統宗教はガーナにも存在していて、一定数の信者がいるようです。
6,ガーナの宗教まとめ
日本で宗教の話をしたり、日々の中で自分の宗教を意識する機会は少ないと思いますが、ガーナでは宗教の影響力、強さをとても感じることが多いと思います。
簡単にまとめると、
-ガーナ人の約7割がキリスト教
-第2の宗教はイスラム教
-ガーナ南部はキリスト教。北部はイスラム教
-伝統宗教も存在している
あたりを押さえていれば、大きなガーナの宗教感を把握できるのではないでしょうか。
ガーナで過ごしていると、「お前の神はなんだ?「宗教はなにを信仰しているんだ?」と聞かれることも多いと思います。
しっかりと自分のスタンスを説明できようにしておきましょう!